PTTとは(トランシーバーの送信ボタンについて)

 

PTTは、「Push To Talk(プッシュ・トゥ・トーク)」または「Press To Talk(プレス・トゥ・トーク)」の略称で、「話すために押す」という意味。
トランシーバーで話す際に押すボタンのことです。
「PTTボタン」「PTTスイッチ」や「プレストークボタン」「プレストークスイッチ」等とも呼ばれています。

 

PTTの種類

トランシーバー本体のPTT

トランシーバー本体のPTT

PTTボタンは、トランシーバー本体の側面に配置されていることが多いです。

スピーカーマイクの大型PTT

スピーカーマイクのPTT

スピーカーマイクには、グローブをはめていても操作しやすい大きめのPTTボタンが付いています。

イヤホンマイクのインラインPTT イヤホンマイクのマイクボックスPTT

イヤホンマイクのPTT

イヤホンマイクの場合は、小型のPTTスイッチがケーブルの途中(インライン)やマイクボックスなどについていることが多いです。

ロック機能ありボタンとなしボタンがあるPTTケーブル ボタン突起が長いPTTケーブルの画像 ボタンサイズが大きいPTTケーブル 分離型PTTケーブル

PTTケーブル

様々な操作性に対応するため、または交換を容易にするために、マイクとPTTケーブルが別売になっている商品もあります。
ロック機能を持っている、ボタン突起が長い、サイズが大きい、PTTだけを掌に持つことができる等の特徴があるPTTケーブルもあります。

     

PTTのメリット

 

PTTを押している間だけあなたの声が相手に届きます

自分が連絡したいときにPTTを押すと送信が始まり、自分が話している間だけPTTを押し続けます。
原則としてPTTを押している間しか送信しないので、余計な音声や周囲の騒音を送信することなく、必要な要件だけを伝えることができます。

 

PTTを押した瞬間すぐに相手につながります

スマートフォンのように画面を見ながら操作したり、相手が電話に出るのを待ったりする必要はありません。
PTTを押して話し始めるとすぐに相手に声が届くので、急ぎの要件をただちに伝えることができます。

 

離れた場所にいる複数の仲間へ同時に情報共有できます

スマートフォンのように電話をかける相手を選んだり、一人一人に連絡したりする必要はありません。
仲間が何人でもPTTを押すだけで一斉に連絡することができるので、瞬時に全員が情報を共有できます。

 

受信する人は一切操作を行う必要がありません

受信側はPTT操作をする必要はありません。仲間がPTTを押して話しかける(送信する)と、送信者の声がリアルタイムで聞こえてきます。
受信する人は受信音の音量調節だけでだいじょうぶです。

 

基本は交互通話です

PTT方式では、一度に話せるのは基本的に一人(交互通信)です。そのため、複数の人の話が交錯して聞き取りづらくなることはありません。
発言が終わったら「どうぞ」といった合図で、スムーズに会話を交代できます。
一部のトランシーバーでは、交互通信だけでなく、電話のように同時に複数人で会話できる同時通話・多重通話に対応しているものもあります。

 
   

PTTのデメリット

 

長時間の会話には不向き

短いやりとりで指示や状況報告を即時に共有する場面に最適なPTTですが、電話のようにじっくり腰を据えて話し込む使い方には向いていません。
PTTを短く押すごとに送信と受信を切替える「PTTホールド」などの機能やオプションを使うと、PTTを押しっぱなしにしなくても送信し続けることはできますが、受信に切替えるのを忘れるといつまでも他の人が送信できない、などのトラブルになる場合もあるので注意が必要です。

 

特定の相手への連絡は追加操作が必要

全員に一斉連絡をするときにはPTTだけで即時の連絡が可能ですが、特定の個人やグループだけに連絡したい場合は、PTT以外の操作が必要になることがあります。
しかし最近では、2~3グループだけであれば複数のPTTを使い分けるだけで即時連絡できる機能を持ったトランシーバーも多くなってきました。

 

誰かが話している最中に割り込めない

原則として、PTTの交互通信では誰かが話している最中には、緊急の要件があっても割り込むことはできません。
ただし、同時通話・多重通話に対応している一部のトランシーバーでは、他の人の話の途中でも割り込んで緊急の要件を送信することができます。

   

PTTの使い方

使い方例

  1. PTTボタンを押し始めるPTTボタンを押す
  2. 「こちら○○」のように発信者を知らせる発信者を知らせる
  3. 「本部へ連絡、3階フロアの巡回済みです」のように用件を伝える用件を伝える
  4. 「どうぞ」や「以上です」で終了の合図とする終了の合図をする
  5. PTTボタンから手を離すPTTボタンを離す
 

使い方のポイント

相手が聞き返す必要がないように、一度ではっきり分かるよう下記のポイントを押さえて発言すると、業務全体が効率よくスムーズに進行します。

 
  • PTTボタンを押し始めたあと一呼吸おいてから話し始める
    (音声の頭切れを防ぎます。)
  • 「誰から」「誰へ」(または「全体へ」)の連絡か、明確にする
  • 用件はできるだけ簡潔にまとめる
    (一般的に数秒以内におさめます。長く話しても記憶に残りづらく、一人が話している間は他の人が発言できません。)
  • 他の人が発言してもよいと分かるように、発言終了の合図をする
    (他の人がPTTボタンを押している間は、PTTボタンを押しても送信できません。)
   
 

PTT方式のトランシーバー

種類 免許・資格 通信距離 初期費用 ランニングコスト 主な用途
特定小電力トランシーバー 資格不要・申請不要 ~200m なし 病院・飲食店・交通整理など
デジタル小電力コミュニティ無線 資格不要・申請不要 ~500m なし 自治会・学校・ゴルフなど
デジタル業務用簡易無線 資格不要・申請必要 ~3km 毎年の電波利用料 工事現場・ホテル・イベントなど
IP無線 資格不要・申請不要 携帯電話の圏内ならどこでも 毎月の利用料 大型施設・物流など
衛星無線 資格不要・申請不要 世界 毎月の利用料 僻地・BCPなど